マネジメント
2018/07/10

仕事の精度は「個人レベルのリスク管理」で高めよう

(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
仕事に追われているうちに重大なミスを見過ごして、あとにクレーム問題に発展したことはありませんか。「何か忘れている気がする」と嫌な予感はしたものの、「まあいいか」と放置したら大事なプレゼンの場で資料が足りないことに気づく……ということもあるかもしれません。リスク管理は何も組織レベルに限りません。

ミスなく精度の高い仕事をするためには、個人レベルでのリスク管理も大切です。ここでは、組織におけるリスク管理のプロセスを紹介しながら、これを個人レベルの仕事に落とし込む際のポイントについて解説します。

リスク管理の基本的な手法を知ろう

以下の図は経済産業省が組織する「リスク管理・内部統制に関する研究会」の報告書をもとに中小企業庁が作成した、リスク管理の8つのプロセスを図示したものです。


リスクを発見・特定したら、それがどれだけの確率で発生し、どれだけの影響力を持つのかを検討します。次にリスクの優先順位を評価し、これらに対する対策を選択・実施していきます。続いてリスクが減少し、放置していても問題ないレベルになっているかを確認しましょう。最後にリスク管理の有効性を評価するとともに、問題があれば修正を加えていきます。

中小企業庁はこの8つのプロセスを組織レベルのものとして紹介していますが、これは個人レベルの仕事にも応用できます。特に重要なポイントは「リスクの発見および特定」「リスクの算定」「リスクの評価」そして「リスクマネジメントの有効性評価と是正」です。以下では、個人レベルでのリスク管理において重要になる「嫌な予感」と「直感」をキーワードとして解説していきます。

「嫌な予感」は全て書き出してタスク化する

個人レベルでリスク管理をする場合、リスク管理だけに時間を割いているわけにはいきません。そのため、「リスクの発見および特定」を行うには、できるだけ直感的にリスクを判別しなければなりません。その際に役立つのが「嫌な予感」です。「たかが予感」と思う人も多いかもしれません。しかし、近年あらゆるところで「データよりも直感が重要である」という考え方が広まりつつあります。

イスラエルの大学では、直感について以下のような実験を行いました。実験では、被験者に対して瞬時に2種類の数字を何度も表示して、最後に「どちらの数字が多く表示されたか?」と尋ねるというものでした。数字は目で見て判断できないほど短い時間しか表示されないので、どちらがどれだけ表示されたかを頭で考えることはできません。結果被験者は直感に頼るわけですが、この実験を6セット繰り返したときの正解率は65%、24セット繰り返したときの正解率は90%とかなりの精度で的中させています。

故スティーブ・ジョブズや、名棋士の羽生善治さん、チェスの元世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフなど直感の重要性を語る偉人も少なくありません。仕事上の嫌な予感もバカにできないのです。

・商品やサービスを購入したいと言ってきた顧客だが、どことなくおかしな雰囲気を漂わせていた
・部下からの報告自体は前向きな内容だったが、一点だけ妙に違和感のある数字があった
・TODOリストを確認したところ問題ないように見えるが、なぜか「何か忘れている」という不安がなくならない

こうした嫌な予感は、仕事をしていれば度々もたらされます。ミスをできるだけなくして仕事の精度を高めたければ、まずはこうした嫌な予感を全て書き出し、この予感を解消するための対策の立案・実行をタスク化してしまいましょう。あとはこのタスクをこなしていくだけで、リスクが抑えられ、仕事の精度が高まっていきます。

「余計な心配」と「確かなリスク」を見分ける直感力を磨く

業務に対する経験が浅いと「嫌な予感」の精度も、まだそれほど高くありません。仮にそれが「余計な心配」だったとすれば、そのための対策にかけた時間と労力が無駄になってしまいます。しかし、嫌な予感の中には「確かなリスク」も混じっているかもしれません。余計な心配と確かなリスクを見分け、リスク管理に余計な時間をかけないためには、「リスクの算定・評価」「リスク管理の有効性評価と是正」によって嫌な予感の精度を高めていく必要があります。

嫌な予感を書き出したら、まず「どうして嫌な予感がしたのか」「嫌な予感が的中したらどんな事態になり得るのか」と考えます。そこで、何の根拠もなかったり、大した損害につながらなかったりする場合もあるでしょう。もちろん、その逆もあり得ます。こうして嫌な予感が持つリスクの算定・評価を繰り返すことで、確かなリスクにつながる嫌な予感を判別できる直感力が少しずつ身についていきます。

ただし、中には、リスクの算定・評価の段階では「余計な心配なのか」「確かなリスクなのか」について見分けがつきにくいものもあります。それについては一通り対策を施したあと、「リスク管理の有効性評価と是正」の段階で余計な心配か確かなリスクかの判断を下します。これもやはり繰り返すことで見分ける直感力が磨かれていきます。

直感力というと才能のように考えている人もいるかもしれません。しかし、前述したイスラエルの大学の研究を見ても、実験を繰り返すことで正解率は飛躍的に上昇しています。積み重ねによって直感力は鍛えられるのです。ひとつひとつのリスクについて時間をかけて検討できれば、当然仕事の精度は上がります。しかし、それでは仕事のスピードが落ちてしまい、結果を残すことはできません。

それならば、スピーディかつ正確な判断を下す力を磨くほかありません。それこそが直感力を磨き、嫌な予感の精度を高めることなのです。

個人レベルのリスク管理は「直感」が大事

個人レベルでリスク管理をする場合、ひとつひとつのリスクを詳細に検討している時間はありません。スピーディかつ正確にリスクを見極め、対策を施していく必要があります。そのために重要なのが「直感」であり、直感を磨くことで高まる「嫌な予感の精度」です。これらは日々の積み重ねで鍛えることができます。「直感なんて才能だ」などと諦めず、毎日コツコツと磨いておきましょう。
 

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