マネジメント
2018/07/17

HRテックで「デキるビジネスパーソン」が可視化される?

(写真=Peshkova/Shutterstock.com)
(写真=Peshkova/Shutterstock.com)
「HRテック」という言葉をご存じでしょうか?HRテックは、人事業務をテクノロジーで改革するためのソフトウェアやサービスです。今回は、HRテックの個人から見たメリットや、企業にとってどんなメリットがあるのかについて説明します。

データが人事を変える?「HRテック」とは

テクノロジーの発達によって、既存分野が革命的な変化を起こしつつあります。その代表例が、金融(Finance)とテクノロジー(Technology)の掛け合わせであるフィンテック(Fin Tech)や、教育(Education)とテクノロジーの掛け合わせであるエドテック(Ed Tech)です。

HRテック(HR Tech)は、人事分野(Human Resource)とテクノロジーを掛け合わせたソリューションやサービスを指しています。採用や研修、評価や人員配置などといった従来の人事関連業務に対して、ビッグデータやAI、機械学習、画像解析、クラウドなど最新テクノロジーを導入した各種のサービスのことです。採用管理の効率向上や業務改善、離職率の低下など、既存業務の劇的な生産性向上が期待されています。

これまでも、過去の採用データを基に翌年度の採用戦略を考えたり、過去の離職率を基に従業員のマネジメント管理を改善したりするなど、データに基づく人事業務がなかったわけではありません。しかし、HRテックの特徴は、データの収集と管理だけではなく、その分析と解決策の提示といった部分までテクノロジーが担うところにあります。今まで以上に、テクノロジーの担当する範囲が広がる可能性があるのです。

HRテックの導入によって、企業は客観的なデータに基づいた人事戦略が行いやすくなります。データを基にしていたとしても、人間が課題抽出や解決策の立案を行う限り、どうしても人事担当者の好みや経験、感覚などといった主観の入り込む余地があるのです。

たとえば、実際には「会話が苦手でも独創的なアイディアの出せる人間」が高い生産性を発揮していたとします。しかし、人事担当者が「コミュニケーションに長けた調整型の人間」を選好していると、会社全体にとって最適な社員を採用できない可能性があるのです。HRテックの登場によって、人間の主観を超えた人事業務の実現性が高まったといえるでしょう。

HRテックのキーワード「エンゲージメント」

HRテックの重要なテーマの一つが、エンゲージメントです。エンゲージメントとは、英語で「愛着」を意味しています。つまり、離職率を下げて社員の定着率を高めるために、テクノロジーを用いてエンゲージメントの可視化(数値化)を行うのです。また、スキルと採用後の業務とのミスマッチを防ぐなど、エンゲージメントアップのための方法論がHRテックの大きな課題となっています。

エンゲージメントほど、HRテックによって新たな脚光を浴びたテーマはないでしょう。確かに、日本語でも「愛社精神」という言葉があります。そのため、従業員の会社に対する結びつきの感情の高さが、その従業員個人や会社全体のパフォーマンスによい影響を与えるという考え方は、それほど新しいものではありません。HRテックの出現以前、それこそ昭和期にもてはやされた「モーレツビジネスマン」の時代から、存在していた概念です。

しかし、こうしたかつての「愛社精神」を客観的に測定することはできませんでした。「早く出社して遅く退社する」「宴会芸をがんばる」など、本当に会社の成果につながっているのか分からないような行動によって、会社に対する愛情が示されていた側面があります。つまり、愛社精神自体も、その効果も、抽象的でデータに基づいたものではなかったのです。

エンゲージメントは、愛社精神と似たニュアンスを持つ一方で、あくまでデータドリブンである点において大きく異なっています。AIやビッグデータによって、会社に対する感情を数値化し、客観的な課題抽出や対策立案が可能となりつつあります。

HRテックでビジネスパーソンが報われる社会へ

企業にとって大きなメリットを持つHRテックですが、企業に勤めるビジネスパーソンの立場から見るとどのようなメリットがあるのでしょうか。最大のメリットは、個人の成果やがんばりが客観的に評価される点です。愛社精神のように、かつてのがんばりには成果とのつながりが見えにくい一面がありました。

だからこそ、努力すること自体が目的化し、上司と仲のよい人や口だけ達者な人が出世する結果につながりかねなかったのです。「なんであの人が出世するのか」という不満を持つビジネスパーソンも、かつては少なくなかったでしょう。

HRテックで成果やデータが可視化されることで、本当にがんばって成果を上げているビジネスパーソンが報われやすい社会になることが期待されます。上司や同僚との関係性だけで出世する人は減り、部署や会社の売り上げを上げたり、周囲の人のモチベーションを高めたりしている人が評価されやすくなると考えられるのです。

ビジネスパーソンは、意義の見えにくい業務ではなく自分や周囲、会社の成長に本当に寄与する業務に集中できるようになります。たとえば、目標管理ソフトウェアを導入して個人やチームの目標を管理し、達成度をフィードバックしやすい環境が整えば、個人にとって働きやすい環境になるのではないでしょうか。

HRテックで適正な評価!客観的評価でモチベーションが高まる日は近い

HRテックは、既存の人事業務を効率化するだけでなく、人事業務に携わらない全ビジネスパーソンのエンゲージメントやモチベーションなどを高める役割を担う可能性があります。個人の立場から見ると、これまで主観的な評価だった「デキるビジネスパーソン」の像が客観的に見えてくるため、仕事の目標が明確化して働きやすくなる可能性があります。
 

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