あしたの履歴書
2018/08/24

「年収」or「やりがい」 仕事はどちらで選べばいいの?

(写真=MailHamdi/Shutterstock.com)
(写真=MailHamdi/Shutterstock.com)
仕事を選ぶ際の基準として多く挙げられるものが「年収」と「やりがい」。両者について、多くの人が「どちらかを選べば、どちらかが犠牲になる」と思っているのではないでしょうか。そのような方のため、本稿では、仕事の基準として「年収」と「やりがい」のどちらを優先させるべきなのかを、科学的な調査や研究の結果などをもとに説明してゆきます。

「年収」だけを追求しても幸福度には限界がある

まずは年収を優先させた場合を考えてみましょう。世の中には「年収500万円あればいい」という人もいれば、「1,000万円以上を目指したい」という人もいます。しかし、いずれにせよ多くの人にとって、本来の目的は、年収を増やすことではなく、「年収を増やして幸せになること」であるはずです。

米パデュー大学のAndrew T . Jebbらの研究によれば、年収の増加によって得られる幸福度には上限があるようです。彼らは2005?2016年の間に世界164ヵ国、約170万人を対象とする調査を行った結果、日本を含めた東アジアでは年収1万1,000ドル=約1,200万円(同上)を上限として、精神的幸福度が年収に比例しなくなると報告しています。さらに同じ研究によれば、「前向きな精神状態」を答えた割合が最大になったのは年収6万ドル=約660万円、「後ろ向きな精神状態」を答えた割合が最小になったのは年収5万ドル=約550万円だったと言うこともわかっています。

この研究からわかるのは、以下の2点です。

・年収が約1,200万円を超えると、精神的幸福度はそれ以上増えなくなる。
・年収が約550万円を超えると、後ろ向きな気分になることはほとんどなくなり、約660万円を超えると基本的に前向きでいられるようになる。

このように考えると、「おおむね550万円以上を稼げるようになれば、それ以上年収を増やしても大きな変化はなくなる」という事実が浮かび上がってきます。もちろんアーリーリタイアなどの目標があって、そのために現役時代にしっかり稼いでおきたいという場合は、年収を追求し続けることにも意味があるでしょう。しかしそうでないのであれば、年収の増加だけでは、長い目で見た場合の幸せにはつながらないと言えるのです。

「やりがい」だけの仕事は続かない

年収と同様に、やりがいも「やりがいのある仕事について幸せになりたい」という想いが根底にはあるはずです。お金よりも大事なことがあると考える人にとっては、「やりがい=幸福」という図式の方が感覚に合うかもしれません。しかし人間の脳の構造から考えると、単にやりがいがあるだけの仕事では、長い間にわたって幸福感を感じ続けることはできないおそれがあります。

人間の「幸せ物質」とも「やる気物質」と言われる脳内ホルモンのドーパミンは、外部からの刺激によって分泌が促進されます。しかしそれは「新しい刺激」に限定されているのです。実際2006年に発表された「Pure Novelty Spurs The Brain」という論文で行われた実験によれば、人間の脳はこれまでに見たことのない画像を見せられた時にだけドーパミンを大量に分泌することがわかっています。これはつまり、人間の脳は刺激に慣れてくると幸せややる気を感じる物質をあまり分泌しなくなるということです。

どんなにやりがいのある仕事でも、何年もやっていれば必ず慣れてくるものです。その結果「給料は低いけど、やりがいはある」という理由で選んだ仕事でも、そのやりがいはいつか失われ、「給料は低く、やりがいも感じられない」という最悪の状況が生まれかねません。

「年収」も「やりがい」も追求しよう

「年収だけ」「やりがいだけ」を追求しても、最終的な目的である幸せを感じ続けることはできません。年収が上がってやりがいが下がれば、それは「我慢代」が増えているだけであり、年収が下がってやりがいが上がれば、それは「やりがいで給料をまかなっている」だけと考えるべきです。

ではどうするべきか。答えは簡単です。「年収」も「やりがい」も追求すればいいのです。つまり年収が上がればそれだけやりがいも上がる、やりがいが上がればそれだけ年収も上がるような仕事です。

最もわかりやすい例は個人事業主やフリーランスでしょう。自分でやりがいのある仕事が選べるうえ、働けば働くだけ年収アップにつながるからです。クラウドソーシングのランサーズが公表している「フリーランス実態調査 2018年版」によれば、副業などを含める広義のフリーランスは日本の人口の17%(1,119万人)とされています。これは年収とやりがいの両方を追求する人が、日本でも増えてきているということだとも考えられます。

また、転職や複業によって、今いる会社とは別の組織に属するのも選択肢の一つです。日本の会社には、「仕事が増えても年収は増えない」「責任は重くても年収は増えない」といった、仕事と対価のバランスが崩れているところも少なくありません。しかし中には仕事の量や質が上がるにつれて、相応の対価をきちんと支払う会社も存在します。転職や複業を通じてそうした会社に出会えれば、会社員でありながら年収とやりがいの両方を追求できます。

慌てず、じっくり準備しよう

「年収もやりがいも、どっちも追求するなんて理想論だ」と思うかもしれません。確かに今の日本では両方を満たす仕事や会社は少ないのが現状です。しかし勇気を出して独立すれば実現は可能ですし、そうでなくても慌てず諦めず、じっくりと準備していれば両方を満たす会社にも巡り会えます。

まずは「自分が満足できる年収は?」「自分にとってのやりがいは?」といった自己分析から始めましょう。それがいずれ出会うチャンスを掴むためにできる、最初の準備となります。

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